旅立ち

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ここは夜の繁華街。 だからといって娯楽を求めて人が溢れている街じゃない。 ある者を見るとお尻にフサフサの尻尾が生えていたり、またある者を見ると鋭い牙をもっていたり。 ここは人間界とは違う人型の動物が夜を過ごすアニマルタウンなのだ。 「そこの可愛い仔猫ちゃん、俺達と遊ぼう?」 お酒と雰囲気、それと動物の性でナンパもかなり多い。 「何して遊んでくれる?」 自慢のツヤツヤな黒い毛で覆われている長い尻尾をゆらりと揺らしながらにこやかに答えてみる。 「…おい、こいつ長老んとこの鈴(りん)じゃないか?」 「マジかよ?逃げろ!」 予想通りの反応で笑いが込み上げてきそうになる。    
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