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「あの人たちはいいよな。死ぬことがカッコいいんだから。死ぬ場所を与えられて、そしてそこで死ねば皆から称えられ悲しまれ」
僕は話し続ける。
その間は、彼女は僕を見続ける。
そう、見てくれる。
怒りという感情を持ってして、彼女は僕を透かすことも無ければ、僕に何かを重ねることなく。
――死ぬ前くらい、いい思いしたっていいよな。
「僕だってどうせ死ぬならそんな死に方が良かったさ。道路に飛び出た子供助けて死ぬとかさ。あれはいいなぁ。でも、都合よくそんなことって起こらないもんだね」
そこまで僕は息継ぎも惜しんで話し続けた。
彼女は、こんな僕をどう見てるんだろうか。
可哀相と、哀れんでいるのか。
馬鹿な奴と、呆れているのか。
「そ、ね」
少し間があって、彼女は口を開いた。
「ホント、死ぬってすーんばらしいコトだと思うわ。うん」
予想外な言葉に少し呆気に取られつつも、彼女の表情が始めの時に戻っていることに気づいた。
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