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「はぁ~疲れるならやめろよ。最近かなりやつれてるぞお前。」
「1日中悪夢にうなされりゃあ、やつれもするだろ」
「確かにね…水だっけ?ちょっと待ってろ。」
ハヅキは俺の言葉なんか軽く無視でありがと~と力なく手を振った。
俺の心配も知らないで。
何考えてんだかほんと。
急いで水を持って戻って来た俺をみてミヅキはケタケタと笑った。腹まで抱えだしたハヅキに少しムッとしながら俺は質問した。
「で?今日の悪夢はどんな人のなんだ。」
「おばあちゃんの戦争の時の夢。」
「またなんでそんなものを?おばあちゃんに依頼されたの?」
「いや。おばあちゃんの息子さんに。」
「なんだそれ?」
疑問符が浮かぶ俺をニコニコと見つめながら話を続ける。
「おばあちゃんあともう三日ぐらいなんだって。で、ぼけちゃってて昔の事しか覚えてなくて目を覚ます度に泣くんだって。空襲の音がするとかお父さんが戦地に行っちゃったとか、ず~と泣いてんだって」
「ふ~んお気の毒にね、でどうしてとめられないんだお前は。」
「こんなにたくさん生きて来たのに最後まで苦しいユメ見続けるなんてひどい話だろ。それを俺はどうにか出来る。だからする。ごく自然な行動だろ?」
そう言ってハヅキは優しく笑った。
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