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雪の道で
あの時の、つらくて心細い気持ちは今でも忘れられない。
とにかく寒くてたまらなかった。
手はかじかみ、足は凍えてがたがた震えているうちにとっくに寝る時間を過ぎて睡魔も襲ってきていた。
こんな夜に追い出した義父が憎かった。
その原因となった母が恨めしかった。
行くあてもないままただ家の近くを行ったり来たりしているうちに足がくたくたになり、目の前の家の玄関前にある石段に腰をおろした。
「疲れたなぁ。寒いよぅ。眠い…」
そのまま一番上の石段に頭を乗せて寒さをやわらげるために丸くなりながら、もう何もかもどうでもいい気持ちになっていた私は、このまま眠ったら死んでしまうのだろうかと考えていた。
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