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「ショコラ…行くよ!」
「ワンッ!」
ショコラは盲導犬…目が見えない主人の為に主人の目の役割を果たす使命を忠実にこなす利口な犬だった…
幼き頃に人間に捨てられてしまったショコラは盲目である今の主人に拾われ、数々の訓練を受け、とても立派な盲導犬となった…
そんな大好きな主人の為に役立てるのなら…僕は幸せだ…
ショコラは犬ながらにそう思っていた…
あの日が来るまでは…
「どうして私の作品が駄目なんですか!!?」
ある日…主人はある男にそう強く詰め寄っていた…
「確かに君の絵は素晴らしい…だが君は目が見えないじゃないか…目が見えない君の身体ではより完璧な絵は描けないのだよ。」
主人は盲目でありながら画家を目指していた…
才能的にはプロも認める腕であったが…盲目が故に目でしか感じ取れる事の出来ないものが絵に表現されていないとプロは語ったのだ…
「私は確かに目が見えません!ですが心で見えるんです!私の思い描く絵が…風景が…」
「ただし君は目の前にあるものを書き写す事は出来ない…それに盲目は画家にとって致命的な欠点だ…他の作品から目で盗んだりも出来ない。」
「自分でやります!他の人の絵を真似たりしません!」
「それが駄目なのだよ。他の作品を目に焼き付けておかねば君はこれ以上の成長は遂げない…残念だが諦めてくれ。お詫びと言ってはなんだが、君の絵は五万円で買い取ろう。」
そういうと男は主人に五万円手渡した…
主人はうつむいたまま震えており、サングラス越しに何粒もの涙が零れた…
主人はショコラと共にまっすぐ家に帰るとショコラをいきなりけりあげた…
「キャウッ!!!」
「なんでよ…なんで認めないのよ…目が見えないからなんだって言うのっ!!!!」
主人は怒り狂う…
そんな主人を慰めるかのようにショコラは主人の傍へと近付いた…
すると…
主人の右手には果物ナイフが握られていたのだ…
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