プロローグ

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「ママっ!はやくはやくっ!」 5歳にも満たないような幼いその少女は振り返ると、後ろから歩いてくる母親に向かって大きく手招きした。 「急がなくても大丈夫よ、ちゃんと入れるから」 やれやれといった様子で母親は言う。 どちらにしろこの人だかりでは、すぐには中に入れそうには無い。 混み合っている場所からは少し距離を置いて、少女の手をひいて待つことにする。 最初にビルから出てきたスタッフ風の男と目が合うと、母親は笑顔で会釈した。 男もそれに気付くと笑顔で駆け寄ってくる。 「どうも!ご無沙汰してます」 男が声をかけてきた。
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