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数日の間、レクは目が覚めるとまた眠る、といった具合で過ごした。
日中に目覚める時もあれば、真夜中に目を覚ます事もあった。
ベッドから動けないまま暫く起きていると、不思議とまた眠りに落ちてしまう。
食事は一切摂っていなかったが、空腹を感じる事はなかった。
腕に繋がった点滴には、透明な液体が入ったビニール袋が繋がっていて、彼が目を覚ます時、いつもそれは新品に交換されていた。
一体誰が替えているのか、レクはとても不思議に思った。助けられた日から幾日も経っているのにも関わらず、人の気配を感じる事さえ一度もなかったからだ。
レクが目覚めると、それを察知するのか、いつも決まって部屋にある画面の電源が付き、顔の形をした影があらわれる。
そうして黙ったまま、かすかに電子音を出しているのだった。
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