ライフオンライン

3/6
前へ
/157ページ
次へ
悲鳴が聞こえた気がした。 母と姉の声だ、と思った。 汗だくになって少年は目を覚ました。 「……」 白い天井が見える。 自分がどこにいるか全くわからなかった。 気分が悪い。さっきまで見ていた夢のせいかもしれないし、吐き気と全身に感じる鈍痛のせいかもしれなかった。 横を向こうと首を動かしたが、よく見えない。 視界の端に窓が開いているのが見えた。 どうやら部屋に寝ているようだ。 自分の体に繋がった何本もの管と、巻きつけられた包帯が見える。 (ここはどこだろう) ぼんやりと、そう思った。 辺りはとても静かだった。部屋の外、窓の外にさえ人の気配がなく、静けさに満ちている。 かすかにそよぐ風の音が聞こえる。 (銃の音も聞こえない。どこまで遠くに来たんだろう) 熱っぽさで頭が朦朧としている。 「もう一度眠るといい」 突然声が聞こえた。 どこから聞こえてくるかわからず、また人の声ではなかったような気がした。 「次に起きた時、質問に答えよう」 急に眠気が襲ってきた。 わけがわからないまま、少年はまた眠りに落ちた。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

863人が本棚に入れています
本棚に追加