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悲鳴が聞こえた気がした。
母と姉の声だ、と思った。
汗だくになって少年は目を覚ました。
「……」
白い天井が見える。
自分がどこにいるか全くわからなかった。
気分が悪い。さっきまで見ていた夢のせいかもしれないし、吐き気と全身に感じる鈍痛のせいかもしれなかった。
横を向こうと首を動かしたが、よく見えない。
視界の端に窓が開いているのが見えた。
どうやら部屋に寝ているようだ。
自分の体に繋がった何本もの管と、巻きつけられた包帯が見える。
(ここはどこだろう)
ぼんやりと、そう思った。
辺りはとても静かだった。部屋の外、窓の外にさえ人の気配がなく、静けさに満ちている。
かすかにそよぐ風の音が聞こえる。
(銃の音も聞こえない。どこまで遠くに来たんだろう)
熱っぽさで頭が朦朧としている。
「もう一度眠るといい」
突然声が聞こえた。
どこから聞こえてくるかわからず、また人の声ではなかったような気がした。
「次に起きた時、質問に答えよう」
急に眠気が襲ってきた。
わけがわからないまま、少年はまた眠りに落ちた。
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