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公園に着き、ベンチに腰掛ける
少し離れた所で子供達がサッカーをやっている
小学生ぐらいだろうか
冬休みを利用して遊んでいるのだろう
それを眺めながら、ピザまんを手にとる
俺は好きなものは最後まで取って置くタイプだった
ピザまんの最後の一口を口に入れた時、サッカーボールがこっちに転がってきた
「すいませーん!」
一人の少年が駆け足でこちらに向かってくる
俺はサッカーボールを手で拾いあげる
「ありがとござます」
少年は恥ずかしそうにやや早口で喋り、ボールを受け取った
そして小走りで集団のいる方へ向かった
俺はそれを見届ける
「お兄さん、優しいんだね」
急に右の方から声が聞こえてきた
振り向くと制服を来た女の子が立っていた
「ねぇ?これちょうだい」
女の子の指の先には俺の肉まんがあった
「昨日から何も食べてないんだもん」
それはかわいそうだな。じゃあ、あげよう
なんて即答できるはずもない
「何も…って」
「そっ。何も」
「そっか…。なら食べなよ」
結局、肉まんを譲ることにした
これも流されやすい性格のせいなのだろうか
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