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「やっぱりお兄さん優しいね」
女の子はベンチに座り、俺から差し出された肉まんを食べ始めた
俺もいつまでも立っている理由はないので隣に座る
「これ、ほっかほか」
まさに俺が味わいたかったそれを女の子は美味しそうに食べる
「お兄さん、年いくつ?」
「ハタチだよ」
自分で言っても歯がゆい言葉だ
「へぇ…じゃあ大人だね」
「そう思うなら敬語ぐらい使ったらどうだ?」
敬語を使えないガキを見ると、腹立たしくなってくる
友人の話によるとバイトの高校生なんかは店長なんかにも平気でタメ口らしい
仲が良いわけでもない
店長もそれを注意するわけではないが、俺はそれが許せない
やはり、礼儀として敬語を使うべきだ
俺は少し古い考えの人間なのかもしれないと思う
「そうだね…じゃなくてそうですね。分かりました」
女の子はやけに素直に敬語を使い始めた
「これも飲んでいいですか?」
女の子はペットボトルを指す
「俺、飲んだやつだぞ?」
「気になります?」
女の子は意地悪な笑顔で俺を見る
「…好きにしろよ」
「ありがとうございます」
女の子は何の躊躇もなく、ペットボトルを口につけて飲み始めた
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