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「学校が冬休みに入ったんで旅をしてるんです」
さっぱり意味が分からない
そんな表情が顔に出てたのか女の子は笑いながら答えた
「学校が終わってすぐに電車に乗ったんです。どっか遠くに行こうって」
「ご両親はそのことは?」
「知らないです。二人とも海外に出張に行ってるんで」
それにしても自由すぎる行動だ
でもこの行動力は悔しいが俺にはない
「君、一人でそんなことしたんじゃ危ないよ。変な男の人とかいるからね」
「もう何人か会いました。でも大丈夫でした」
女の子は妙にサバサバしている
「んじゃもう家に帰りなよ。旅は楽しかっただろ?」
「お金がもう無いんで無理です」
「電車賃ぐらい出してやるよ。いくらだ?」
「悪いですからいいですよ」
「若いもんが遠慮するなよ。いくらだ?」
俺はポケットから財布を取りだし、小銭を見る
八百円ぐらいはありそうだ
「一万円弱ですよ」
「はいはい一万円…一万!?君、どこから来たの!?」
女の子は生徒手帳を取りだし、住所を見せた
そこから分かったことは、他県からやってきたことぐらいだった
「…お兄さんって一人暮らしですか?」
嫌な予感のする言葉が女の子の口から出てきた
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