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やがて女の子はベッドの上で寝息をたてはじめた
俺は眠れずにいた
あの頃は楽しかった
何度もそう思った
何故、これからを楽しもうとしないのか
子供の頃に戻りたい
何度もそう思った
何故、今から始めようと思わなかったのか
俺は考えが、心が大人になったつもりでいた
しかし、それとは逆に心は成長を止めていた
俺は【大人】になったことで道が閉ざされるモノだと思っていた
いつまでも子供でいたかった
ピーターパンになりたかった
しかし、それは無理だ
でも、気持ちだけは子供でいつづけられる
過去には戻れない
これから歳を取り続けるだけだ
どうせなら
未来を見よう
俺の人生は終わっちゃいない
あの頃の俺だけが俺じゃない
俺は携帯を手に取った
友人に一通のメールを送る
数秒もたたないうちに返事がきた
『頑張れよ』
俺は携帯を閉じ、大きく息を吸い込んだ
そしてゆっくりと息を吐き出す
右手を天井に突き上げ、拳を強く握る
とりあえずここから始めよう
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