肉まん

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冬の寒い日だった 俺は大学の帰りに寄ったコンビニで肉まんを一つ買った 腹が空いていたわけでもなく、ただなんとなく食べたくなった 「百五円になります」 とても無愛想な店員だった 胸の名札には研修中と書かれている 恐らくバイト高校生だろう 金をもらって仕事をしているというのに愛想笑いの一つもできやしない きっと店長に怒鳴られでもしたら、すぐにでも辞めるようなタイプだろう 俺は勝手にそう決めつけ、店を出る 買ったばかりの肉まんを頬張ろうとすると、ポケットで携帯が揺れた 着信相手は中学の同級生だった と言っても、別段懐かしい相手でもない 今でも週一ぐらいで会っては話をするような仲だ 多少、面倒ではあったが電話に出ない理由もない 『よっ。今日暇か?』 嫌という程に聞き慣れた台詞だった 「九時にお前ん家でいいんだな?」 『さすが、物分かり早いねぇ』 「いつものことだろ。つうかこれぐらいのことならメールしろよ」 『お前の声が聞きたいの~』 あまりの気持ち悪さに電話を切った くだらない電話のせいで、せっかくの肉まんが少し冷めてしまった
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