未来から

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「…ってわけよ。本当、金稼ぐって大変だ」 友人の苦労話に俺はただ頷くだけだった 面倒というわけではないのだが、何を言っていいか分からない 「お前は大学のほう、どうなのよ?」 「まぁぼちぼち。明日から冬休みだ」 「折角高い学費払ったんだ。無駄にはするなよ?」 「あぁ…」 正直な話、なぜ大学に行っているのか分からなくなることがある 『就職に便利だから』 『今どき行っておかなきゃ』 こんなのは世間用に用意された都合のいい言葉だ ましてや『楽しいから』なんて理由で何千万も払えるわけがない 行っているからには何かを得なければ、金を出してくれた親に申し訳ない 「…なぁ、お前は今の生活満足してるか?」 俺は友人に聞いてみた 「ん?フリーター生活か?悪くはねぇが満足しちゃいねぇよ。まだ夢を叶えていないからな」 「そっか…」 俺は煙草に火をつけた 「昔は良かったよな」 「まぁな。あれ、覚えてるかよ?修学旅行のさ…」 友人が楽しそうに昔話を始めた そして俺もまた、楽しそうに相槌をうつ 今から逃げるように、昔を思い出す
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