76人が本棚に入れています
本棚に追加
もう二時間近く話しただろう
話題は尽きることなく、部屋に笑い声が響き続ける
もう過去に何度も同じ話で笑っている
それでも笑い疲れるぐらい笑った
「何であんな馬鹿できたんだろうな?」
「余裕があったんだろ。心にさ」
「ハハ…違えねぇや」
これには友人も力なく笑った
外からは救急車のサイレンが聞こえる
それに犬が反応し、遠吠えをあげる
「お前は未来が見えるか?」
沈黙に耐えきれず、つい変な質問をしてしまった
「どうしたよ?急に」
「いやさ…俺、このままでいいのかと思ってな」
「はぁ?俺より随分、未来は安泰じゃんかよ。大学に行けることを幸せに思え!」
「気持ちがついていかないんだよ…流されて生きてきた俺には…」
俺にはこの流されたという表現も言い訳にしか思えない
誰の指示もない
ただ自分が選択しただけだ
でも選択した自覚がない
「なぁ、俺達は未来から来たんだよ」
友人がミカンの皮をむきながら言った
最初のコメントを投稿しよう!