未来から

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もう二時間近く話しただろう 話題は尽きることなく、部屋に笑い声が響き続ける もう過去に何度も同じ話で笑っている それでも笑い疲れるぐらい笑った 「何であんな馬鹿できたんだろうな?」 「余裕があったんだろ。心にさ」 「ハハ…違えねぇや」 これには友人も力なく笑った 外からは救急車のサイレンが聞こえる それに犬が反応し、遠吠えをあげる 「お前は未来が見えるか?」 沈黙に耐えきれず、つい変な質問をしてしまった 「どうしたよ?急に」 「いやさ…俺、このままでいいのかと思ってな」 「はぁ?俺より随分、未来は安泰じゃんかよ。大学に行けることを幸せに思え!」 「気持ちがついていかないんだよ…流されて生きてきた俺には…」 俺にはこの流されたという表現も言い訳にしか思えない 誰の指示もない ただ自分が選択しただけだ でも選択した自覚がない 「なぁ、俺達は未来から来たんだよ」 友人がミカンの皮をむきながら言った
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