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「おはよっレノアス。
これ美味しいね」
美味しそうにあめを舐めながら女の子があいさつする。
この年であめ玉で機嫌を直すなんて……なんて子供な精神の持ち主だ
「おはよっミルファ、でもそれ殴る前に言っとこうな」
頭を擦りながらレノアスがあまり咎める様子もなく言う。
この娘はミルファ=ニルバーナ
レノアスと同じクラスで学年トップの成績を持つ。
しかも『美人』と『可愛い』をあわせもっている反則的な少女。だとレノアスはたまに思ったりする。
「だってレノアスが動いたせいでトンボ逃げちゃったんだもん」
ミルファが少し拗ねて頬を膨らませる。
本当にお子様な奴である。
(たかがトンボで俺はボコられたのか…)
レノアスは悲しくてしょうがなかった。
「なに、早く来てテスト勉強?」
そんなこと知ったこっちゃないミルファがレノアスの机を覗き込む。
「まぁなー」
レノアスもあめを口に放り込んだ。
(へっガリ勉君)
「ん?なんか言った?」
レノアスが何かを感じ取ったらしい
「なんも言ってないけど?」
ミルファは笑顔で軽く流す。
「で、ミルファはやったか?」
レノアスが同じようにミルファに尋ねる。
「全く!」
ミルファは何故か自信満々に即答した。
(ケッこれだから天才は)
と思った瞬間
ドゴッという鈍い音と痛みが……
レノアスの脇腹にミルファの拳がめり込んだ。
「なんですか!?」
レノアスは今にも泣きそうな顔で声をあげる。
「なんとなく……」
この時のミルファの目はとても怖かった。
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