74人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女の名前は藤田美咲(ふじたみさき)。大学一年生。飛び降り自殺を図り、広太を死なせた張本人だった。
「…謝って済む問題じゃないんだけど。」
温厚な広太だったが、さすがにその顔に笑みはない。
「そうですよね…。」
美咲は一度うつむき、再び顔を上げて続けた。
「あなたはとても愛されていたんですね。みんなすごく悲しんでいる…。」
広太は、今までの18年間を思い返していた。
嫌なこともあったりしたが、今になって思い出されるのは不思議と楽しかった記憶ばかりだ。
「…ワタシもそう思いますよ…。」
と言い、死神が広太に目をやると、広太の目には再び涙がたまっていた。
やはり、まだ気持ちの整理がつかないのだろう。
しかし、先に涙をこぼしたのは美咲の方だった。
最初のコメントを投稿しよう!