シュレディンガーの猫とシャガールの人面犬

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 そんなわけで、この世で必要な糧を得るため、時々こうして、魔河原に起こった出来事を、ちょっと盗み聞きしては、売りさばいているのです。  だから、良く人からは、『盗作者』などと呼ばれるのです。  でも、もともと小説などというものは、魔河原に起こった出来事が記載されたアカシック・レコードというものから、作家と称する、ほんのちょっと霊能のある人達が、自分のインスピレーションだと勘違いして、物語を、書き写しているのだけですから、同じような話を、他の誰かが書いていたって、なんの不思議もないのです。  あっ!そうそう。天魔河原のことは、最近、天禍原とも書かれる事があるようです。  私のことは、手配書によると、  禍原(まがはら)に結びし摩訶事(禍言)を盗み売る者。『摩訶言の呪術師』などと、書かれているそうです。  まっ、仕方ありません。  そう呼ばれても・・・もう暫らく、ここで、こうやってほとぼりを冷ましているしかありませんから・・・
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