鏡合わせ

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「香芝!?」 未来は驚いて声を上げた。 確かに、儀式を受けたのだから姿は変わっているはずであるのだが、香芝はあまりにも変わっていた。 肩より下に伸びた茶色の髪、深緑の瞳、人なのかと疑いたくなるほど美しい顔立ち。なにより目立っているのは、額にはめこまれた黒い石だった。 「本当に香芝?」 「ああ!お前だって姿変わってるぞ」 「こっちこい」と手招きされ、部屋を出て、連れて来られた部屋には長椅子に座ったおおばば様が居た。 未来が慌てて跪くと、おおばば様は優しく微笑んだ。 「固くならんでもよい。それより、身体は何ともないかい?どこか痛い所や、おかしな所はないか?」 「はい」と未来は立ち上がった。 「あちらに鏡がある。己の姿を見てきなさい」 未来はおおばば様に一礼してから、ゆっくりと鏡の前に立った。 鏡を見た途端、未来は口をポカンと開けてしまった。 鏡の中には、見た事もない美人が写っていた。 腰より下に伸びた黒髪、深い海の様な青い瞳、輝く様に美しい少女は、今しがた見た香芝と瓜二つだった。 そして少女の額には、香芝と色違いの白い石が嵌め込まれている。 「……石」 そっと石に触れてみると、指先に微かな痛みが走った。
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