3973人が本棚に入れています
本棚に追加
片付けが一通り終わると、三月ウサギは無言のまま家の中へ消えて行った。
帽子屋は背中を黙って見送ると、視線を遠くにある森に移した。
…――知らないはずの記憶にある森。
っどこなんだ、ここは!
「少し涼んできたら…どうですか?」
隣で椅子を机に入れていたヤマネが帽子屋に話し掛けてきた。
優しい声で、心配するかのように。
帽子屋は一瞬だけヤマネを見下ろし、また視線を森に移して帽子を深くかぶる。
「…行ってくる」
彼はただその言葉を残し、"巡る運命"に足を深く踏み入れた。
最初のコメントを投稿しよう!