森の隣の小さな小屋

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片付けが一通り終わると、三月ウサギは無言のまま家の中へ消えて行った。 帽子屋は背中を黙って見送ると、視線を遠くにある森に移した。 …――知らないはずの記憶にある森。 っどこなんだ、ここは! 「少し涼んできたら…どうですか?」 隣で椅子を机に入れていたヤマネが帽子屋に話し掛けてきた。 優しい声で、心配するかのように。 帽子屋は一瞬だけヤマネを見下ろし、また視線を森に移して帽子を深くかぶる。 「…行ってくる」 彼はただその言葉を残し、"巡る運命"に足を深く踏み入れた。
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