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「ネズミかよ…」
「あっ、バカにしてるわね!あのネズミバカでかくて恐いのよ!でも私がこ…」
少女が言い掛けた言葉はもごもごしながら空気に溶けていった。
「…こ?」
「…なんでもないわ」
帽子屋が首をかしげる仕草をすると、少女は両手の手のひらを前に突きだし、何でもないということを主張した。
帽子屋は頭を軽く掻き、これ以上触れないようにと別の話題を切り出そうとした。
しかし、その話題は少女が先に奪い取り、話を切り替えた。
「ねぇ、貴方名前何て言うのかしら?」
「…帽子屋」
複雑な表情を浮かべ、帽子屋は"自分の名前"を口にした。
少女は名前を聞き、こくりと頷くと満面の笑みで話した。
「私はアリスよ、よろしくね!帽子屋さんっ」
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