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「どうして貴方はこんな真っ暗な森で一人なの?」
小道に沿って歩いていると、後ろからとてとてと付いてくるアリスと名乗った少女が、楽しそうな声で言った。
帽子屋は溜め息を吐き、質問に答えた。
「お前がいるだろ、一人じゃねえ…」
「そっか、じゃあどうして貴方は一人でこの森に来たの?」
「そっくりそのままお前に返してやる」
「…そっか!私も一人だったわ!」
…――バカだ。
短く全ての質問に答えた帽子屋は、再び溜め息を吐いた。
本来ならもう帰りたいのだが、何故かアリスが付いてくるので帰るに帰れない。
流石に"得体の知れないもの"を連れて帰るわけにはいかないのだ。
遠回りをしつつ、小道に沿って迷わないように散歩をする。
「…早く帰りてえ」
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