宝石

2/7
前へ
/17ページ
次へ
『予告状 今宵亥の刻 月明かりに光り輝く鶯を頂戴致します。』   …ふん くだらん。   そろそろ亥の刻 さて、如何なる手段を使うかな?     ゴーン…ゴーン…     亥の刻を告げる鐘がなる。 …何ものかの影が動いた。 来たか       影を追う。   影は逃げる。   ちっ… ラチがあかん。   先回りして待つとしよう   方向を変えて、部屋に向かう。   ガチャリ   「ん~… なぁにぃ?」 部屋の中には緑色の髪と目を持つ少女。 宝石の首輪をつけた乙女が、ちょこんと居る。   「…鶯。」 私は彼女をそう呼んで、彼女がぼ~っとしてるうちに唇を近づける。 「ん?!」 彼女は驚いて目を見開くが、抵抗はしない。 私が唇を離す。 そうすると、寂しそうに私を見つめる。 「…鶯、また誰かに狙われてるの?」 鶯のような声だけが、静かな部屋に響く。 「…心配ない。 私は…そなたを誰にも渡さん。 …そなたは…私の宝石なのだから」 私は、至極優しい声で言った。 鶯の顔が、パッと明るくなる。 「蒼様は…鶯の守人… 鶯だけの守人♪」 そう言って、少女は微笑む。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加