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『予告状
今宵亥の刻
月明かりに光り輝く鶯を頂戴致します。』
…ふん
くだらん。
そろそろ亥の刻
さて、如何なる手段を使うかな?
ゴーン…ゴーン…
亥の刻を告げる鐘がなる。
…何ものかの影が動いた。
来たか
影を追う。
影は逃げる。
ちっ…
ラチがあかん。
先回りして待つとしよう
方向を変えて、部屋に向かう。
ガチャリ
「ん~…
なぁにぃ?」
部屋の中には緑色の髪と目を持つ少女。
宝石の首輪をつけた乙女が、ちょこんと居る。
「…鶯。」
私は彼女をそう呼んで、彼女がぼ~っとしてるうちに唇を近づける。
「ん?!」
彼女は驚いて目を見開くが、抵抗はしない。
私が唇を離す。
そうすると、寂しそうに私を見つめる。
「…鶯、また誰かに狙われてるの?」
鶯のような声だけが、静かな部屋に響く。
「…心配ない。
私は…そなたを誰にも渡さん。
…そなたは…私の宝石なのだから」
私は、至極優しい声で言った。
鶯の顔が、パッと明るくなる。
「蒼様は…鶯の守人…
鶯だけの守人♪」
そう言って、少女は微笑む。
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