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黒水晶は、とりあえず屋敷に置くことになった。
ーその夜ー
「…やっぱり嫌い
あの人恐いもの
蒼様は…
鶯の守人でしょう?」
私に抱かれながら、鶯は言った。
「大丈夫だよ鶯。
黒水晶の事は、守人が就き次第、その守人に任せるから。」
私は鶯を撫でながら言った。
ここは私の書斎。
大きなワインレッドのソファーに、私は座り、鶯を抱いていた。
鶯は、幼い。
その見た目は、まだ10を過ぎたばかりにさえ見える。
だが、実際は…
「…蒼様…」
鶯が口を開いた。
「…む、なんだ?」
「…。」
「…。」
「…クズ石って、どういう事?」
「…気にして、いたのか…」
「天然ってなに?
宝石は…天然の方がいいの?
…鶯は…天然じゃないの?」
そう言葉を紡ぐ鶯の目に、涙が浮かぶ。
「…鶯。」
私は彼女を抱きしめた。
「鶯。
私は、そんな事気になどしないよ。
確かに、黒水晶は天然かも知れない。
けれど、私はね?
天然だろうとなかろうと
鶯、そなたが好きなのだ。
そなたを愛しておる。
だから、気にするな。
…私がそなたを愛す。だから、自信を持て。
お前は最高の宝だ。」
私はそう言って、鶯を寝かしつけた。
眠りに落ちた彼女を、寝室へ運び、彼女の寝台に寝かす。
その隣は、私の寝台。
いつ何時、狙われても、すぐ守れるように
彼女の眠りを邪魔する輩を、すぐ排除できるように。
出来れば、同じ寝台でも良かったのだが…
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