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…実際、言葉にしたら、「おしまい」なのかもしれない。
だから僕自身、言えないのだ。
その二文字、を。
「…好き」
のどをふるわせ、
空気をもふるわせ。
なんてこと。
口にした途端まるで安っちい恋愛映画みたいな甘酸っぱさが、そこに広がった。
まるで君が笑った時みたいな気持ちの高揚!
頬の紅潮!
君に、いますぐにでも伝えたい!
明日、
うん、明日。
明日こそは彼女に教えなきゃ。
赤く夕焼け、
日誌を書きながら。
沈黙さえも心地よい。
野球部の声、
何処からかラッパの音。
談笑、
笑い声。
そんな中、
彼女はきっと言うんだ。
「言葉にしたら、それは無くなって、おしまいな気がする」
そんなことない。
証明してあげるよ。
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