第一章 レン

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レンが話しかけたのはお墓だった。そこに刻まれた名前は、ユーキ・クロードとマリア・クロードだった。 レン・クロードは人類最終戦争を終わらせたユーキとマリアの息子であった。マリアはユーキと結婚したさい、姓をルスカからクロードへと変えていた。 レンは家の中に入り、机の上にある写真を見た。その写真にはユーキとマリア、そして生まれたばかりのレンが写っていた。 「もうこんな時間か…」 しばらく写真を見てぼーっとしていたレンは、外を見た。気づけば外は雨が降っていて、雷も鳴っていた。 「あの日も…こんな天気だったな…」 レンは首を振り、食事の準備を始めた。 食事を終えたレンは、まだ早いとは思ったが、布団に潜りこんだ。そしてすぐに眠りについた。 レンは空を飛んでいた。背中には白い翼が生えていた。 『どこまでいけるかな…』 彼は行ってみようと思った。限界まで、どこまでも。彼は背中に生えた翼を動かそうとしたが、全然前に進まない。レンは背中を見た。翼は消えていた。 『うわぁー!!』 レンは漆黒の闇へと落ちていった―― ごん。と音がしてレンは目を覚ました。 「…夢?」 額を地面に打ったレンは態勢を直し、起き上がった。 「何であんな夢見たんだろ…」
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