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レンが話しかけたのはお墓だった。そこに刻まれた名前は、ユーキ・クロードとマリア・クロードだった。
レン・クロードは人類最終戦争を終わらせたユーキとマリアの息子であった。マリアはユーキと結婚したさい、姓をルスカからクロードへと変えていた。
レンは家の中に入り、机の上にある写真を見た。その写真にはユーキとマリア、そして生まれたばかりのレンが写っていた。
「もうこんな時間か…」
しばらく写真を見てぼーっとしていたレンは、外を見た。気づけば外は雨が降っていて、雷も鳴っていた。
「あの日も…こんな天気だったな…」
レンは首を振り、食事の準備を始めた。
食事を終えたレンは、まだ早いとは思ったが、布団に潜りこんだ。そしてすぐに眠りについた。
レンは空を飛んでいた。背中には白い翼が生えていた。
『どこまでいけるかな…』
彼は行ってみようと思った。限界まで、どこまでも。彼は背中に生えた翼を動かそうとしたが、全然前に進まない。レンは背中を見た。翼は消えていた。
『うわぁー!!』
レンは漆黒の闇へと落ちていった――
ごん。と音がしてレンは目を覚ました。
「…夢?」
額を地面に打ったレンは態勢を直し、起き上がった。
「何であんな夢見たんだろ…」
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