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忠勝は、数騎を連れて坊主山辺りの物見をしていた
異常はなく、まもなく今川本隊が大高城に到着すると信じていた
忠勝が帰城しようとした時である
突然雷と共に豪雨が襲った
仕方なく忠勝は一軒の農家を見つけ、そこで雨が去るのを待った
忠勝は、この豪雨で今川軍は一時進軍を中止し、どこかの寺院か神社で雨宿りしていると思われた
やがて、雨もあがり爽涼たる空気が辺りをおおっていた
この豪雨の間に天下の形勢を大逆転するほどの事件が自分の身近なところで起こっているとは思いもしなかった
忠勝は、大高城を目指した
大高城に向かう途中に農民とすれ違う
身なりは農夫だが体つきはガッチリしていて歩き方も勇ましい
すれ違う時に農夫の顔を見た
どこかで見た事がある
通り過ぎると農夫が忠勝に声をかける
農夫→おいおい、俺を忘れたのかよ
忠勝は後ろを振り向いた
そこには、鈴鹿の丹兵衛である
忠勝は、刀を抜いた
丹兵衛→慌てるな!
わしは、丸腰じゃ
忠勝は丹兵衛の姿を見ると刀をしまった
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