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俺は本当に馬鹿だった。
あいつの足を引っ張らないために身を引いた。
本当に馬鹿だ。
その日からあいつはどれくらいの涙を流したのだろう。誰もいない。誰にも見つからないところで。
何度かあいつを見かけたがお互いに言葉をかわす事無く、目を合わせる事無くすれ違った。何度も声をかけかけた。でもそれはきっとあいつのためにならないと思った。
8ヵ月という時間は俺の人生の中で最も長く、辛い時間だった。
きっとあいつも同じ気持ちだっただろう。
雪が降る桜並木の下であいつは待っていた。自分の使命を果たすことができたと。
なんて声をかけたらいいか分からなかった。この8ヵ月を埋める言葉が出てこなかった。無い頭で必死に考えた言葉がコレだなんてやっぱり俺は馬鹿だ。
『よう。』
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