名も無い記憶

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 辺りに警鐘が鳴り響く。周りの面々は装備を整えて所定の位置に向かって行く。  せっかく今日は休みだから他のメンツと賭けを楽しんでいたのに、とんだ邪魔が入ってものだ。  まったく総員百数十名の統死会に喧嘩を売りに来たバカを呪うぜ。そう考えながら俺も警備体制に移った。  侵入者がいる場所に向かうにつれ、多数の断末魔が聞こえてきた。今回のバカはかなり多いみたいだな。さっさと終わらせて賭けの続きでもしよう。そう考えると自然と笑みがこぼれる。なぜなら今日の俺の運は絶好調なのだから。  しかし、俺は次の光景を見て絶句してしまった。辺りに転がっているのは仲間達だったからである。  ある者は顔面を砕かれ、またある者は手首の動脈を切られ苦しみの声をあげている。そこにいる仲間達は戦うことはおろか、もう生き残ることすら難しいであろう。  だが、俺が驚愕したのは、これを見たからだけでは無い。  この惨劇を、いや、これだけの惨劇を起こしたのが、たったの四人であることに気付いたからである。    
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