始まりの世界

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 恐怖におののく俺を後目に、男は独り言を呟いた。 「うーん。やっぱり子供か……これが刺客だったら、かなり気が滅入るとこだな」  男は手をひたいに当てて困った素振りを見せた。  しかく?この男は何を言っているんだ?そして、その手に持っている物は?俺は疑問が沸いているのに声が出ないほど驚いていた。 「そろそろ、奴が退屈でもして何か仕掛けてくると思ったが、勘が外れたようだな」  男は1人で納得したのか頷いている。そして先ほどまでの恐怖が薄らいだ俺は、この人に声をかけようとした時。 「坊主は1人なのか?親は?」  その言葉に俺は、声がつまり、また泣き出してしまった。もう、いるはずの無いその存在を思い出して。 「あ……すまん。もう泣くなって」  男は困ったしまったのか、俺の頭を撫でた。 「うーん。俺と一緒に来るか?いつまでもここにいてもしょうがないだろ?」  そう言って手を差し出してきた。俺は、きっと少しだけ嬉しかったのだろう。泣きながらだが、その手を掴み立ち上がった。 「よし!それでこそ男だ」  その男は、なんだか少し嬉しそうな表情を見せてこう言った。 「俺の名前は、シンだ。坊主の名前は?」 「シュウ」 なんだか、とても簡潔な自己紹介に感じた時だった。
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