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「…発狂だけはするなよ」
「無理です、僕のハートは崩壊寸前です」
言葉さえ訳が解らなくなった湊に冷たい視線を送っていた時、確かに何かが聞こえて。
驚いて後ろを振り返っても、視界には暗闇に包まれた廊下しか見えない。
空耳だったのかなと思って湊のほうに視線を戻すと、湊は何がなんだか解らずに泣きかけている。
「ど、どうかしたの?」
「あぁー…、見回りの人が来たのかと思ってな」
何かが聞こえたなんて湊に言ったら、間違いなく発狂するのは承知済み。
親友が壊れる瞬間を見たい訳が無く、あえて誤魔化した。
「…来てくれたほうが良かった」
冗談では無く、本気で言ってる。
昔から変わらないと言えばそうなのだが、高校3年にもなって未だに怖がりな湊が、鈴には心配で仕方なかった。
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