第3章「踊れ 心壊れるまで」

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「ベートーヴェン先生!」 それからしばらくしてのことだった ピアノの鍵盤に指を置いたまま気を失っている俺を、フランツが見つけ病院まで運んでくれたらしい 指は爪が割れ、皮が剥けてボロボロだった フランツも俺と同じ手をしていたのを思い出した 物だって持つのが痛いぐらいなのに、それなのにそんな手で俺を運んだなんて… 何故フランツは俺なんかのためにそんなに必死になる? 「それは、大切な人を助けたいからですよ」 大切な人? 「どんなに自分が壊れそうになっても、大切な人を助けるためなら、そんなこと気にならないんです」 そうか… フランツの声が遠く感じた
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