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「ベートーヴェン先生!」
それからしばらくしてのことだった
ピアノの鍵盤に指を置いたまま気を失っている俺を、フランツが見つけ病院まで運んでくれたらしい
指は爪が割れ、皮が剥けてボロボロだった
フランツも俺と同じ手をしていたのを思い出した
物だって持つのが痛いぐらいなのに、それなのにそんな手で俺を運んだなんて…
何故フランツは俺なんかのためにそんなに必死になる?
「それは、大切な人を助けたいからですよ」
大切な人?
「どんなに自分が壊れそうになっても、大切な人を助けるためなら、そんなこと気にならないんです」
そうか…
フランツの声が遠く感じた
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