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『しかし、さっきのは何だったんだ? 』
安堵とともにそんな疑問が頭に浮かぶ。
『巨大なアリ地獄か?』
夜魅が、下を見ていった。
『いや。違うと思う。
突然、何かに足をつかまれて、砂の中に引きずりこまれた。
アリ地獄なんかじゃない。
私の足をつかんだのは人の手だった。
すごい力で足首をつかんだんだ。
あの感触は、アリ地獄のものではない。』
まだ足首に残る指のような感触。
『砂の中から手がね…。』
何やら夜魅が考え始める。
『ちょっと、出かけてくる。』
唐突に、夜魅がそう言った。
刹那、玲羅は放り出される。
夜魅が消え、上空にいた玲羅は重力にしたがって落下していく。
『夜魅!』
叫んだが遅かった。
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