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「本当、真ちゃんは律儀ねぇ…」
「律儀というか生真面目というか…」
「まぁ、そこが真お兄ちゃんのいいところだよ」
栞は真くんのベッドに倒れ込みながらそう言った…って!?
「ちょっと栞!何羨ましいことやってんのよ!?」
「えへへ~!真お兄ちゃんの匂いだ~!」
『私にも嗅がせなさ~い!!』
と、真くんのベッドに飛び込む私とお姉ちゃんであった。
†
コンコン
「燐」
「………」
ノックしても返事が無い。
気配は…ある。意識を集中させないと察知できないぐらい小さくなってるけど。
ていうかドアの隙間からドヨ~ンとした空気が流れ出してるんですけど…。
「…入るよ」
ガチャッとドアを開けて中に入る。
燐はすぐに発見できた。自分のベッドの上で体育座りして重い空気を背負っている。
「…燐」
声をかけるとビクッと反応したが、顔は上げようとしない。
僕は燐の隣に腰を下ろした。
「…ごめん」
燐?
「…変なもの…食わせちまって…」
「…変なものじゃないよ。燐が一生懸命作ってくれた料理じゃないか」
まぁ、確かに冗談抜きで生死の境をさ迷ったけど…。
「…今まで散々下手くそって言われてたけどさ…無視しててさ…でもやっぱり…下手くそなんだよな…」
「…燐…」
「…ごめんな…真…もう…料理なんてしないから…」
…こんな燐は初めて見たよ…。
「…大丈夫」
それで燐を救えるのかどうか分からないけど…。
僕は燐を抱き締めた。
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