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「し、真…////!?」
僕が抱き締めると、燐は狼狽えたように顔を上げた。
「下手くそだったら練習すればいいじゃない」
僕は燐の頭を優しく撫でた。
「みんな最初は下手くそだよ。僕だって初めは下手くそだったんだから」
少し体を離す。
「僕が教えてあげるからさ、頑張ろうよ」
「…真…」
「ね?」
燐の頬に涙の筋が走っていたので、ポケットからハンカチを出して拭った。
するとその僕の手を燐の両手が包み込んだ。
「燐…?」
「…あり…がとう…」
顔を伏せ、震えるか細い声で燐は言った。
「…少し遅いけど、お昼にしよっか」
†
真は俺が作ったチャーハンを使ってオムライスを作った。
やっぱり真はすごい。
気絶するぐらい不味いはずだったチャーハンがこんなに美味しくなるんだから。
俺もこんなに料理が上手になるんだろうか?
いや、こんなに上手じゃなくていい。
せめて、真に一言、「美味しい」って言ってもらえるぐらいは上手になりたい。
そのことを真に言ったら、
「僕も、燐の手料理が食べられる日をいつまでも待ってるから」
って言ってくれた。
ホント、あいつは優しすぎカッコよすぎだ。
あんなだから、俺や姉貴達まで惚れちまうんだ。
待ってろ真!いつか絶対上手い料理食わせてやるからな!
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