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いつもとかわらない夜のはずなのに、ぼくはなぜかその日だけ夜中に目を覚ました。冷たい風がほおに当たる。部屋を見わたすと、窓が半分開いていた。
おかしいなぁ。12月の寒い夜に窓が開いているなんて。閉め忘れたのかなぁ?
よく見ると、窓ぎわにだれかの影がうつっている。
「だれ?」
目をこすると、小さな男の子の姿が見えた。8才のぼくよりも少し年下に見える。でも、ぼくは目の前の光景が信じられなかった。だって、男の子が宙に浮いてるんだもの。へんなぼうしをかぶっているし、きている服も大人みたいで不自然だった。
男の子は胸ポケットから一枚の紙を取り出し、ぼくにわたした。これは…名刺かな?お父さんが仕事で使っているけど…
名刺には
No.404 しにがみ
☎(13)ー4444
と書いてあった。
「しにがみ……」
突然のことに驚いていると、男の子が告げた。
「雄太くん、残念だけどあと3日で死んでもらうことになったよ。」
ぼくは…あと3日で…死ぬ…?
…そうか…胸の病気がいつまでたっても治らないから、それでぼくは…
「何かしてほしいことはないか?できるかぎりのことはするよ。」
しにがみが心配そうにぼくを見ている。
「3日後っていうとクリスマスだね…」
ぼくはしにがみに一つおねがいをすることにした。
「ぼく、サンタクロースに会いたいなぁ。」
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