始まりの朝

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彼は急いで洗面所に行き、顔を冷水で洗い、歯を磨きながら、髪をセットしようとするが時間がないのでいつもの如く断念した。 そして、キッチンに向かい、冷蔵庫から食パンとマーガリン、牛乳を出し、食パンにマーガリンを適当に塗りたくり、それを一口に勢いよく口に運んだ 「……ん、ぐっ…」 顔がどんどん青ざめていく。こちらの案の定、どうやら喉に詰まったようだ。 ドンドンと胸を叩き、急いで牛乳を1リットルのパックの注ぎ口にそのまま口をつけて飲む。 「…ング、ん…‥ぶはぁっ…はぁ、死ぬかと思った…」 そういうと口元を腕で拭う。壁掛け時計を見ると針はもうすぐ九時をつげようとしている 急いで、制服に着替えた。 ガチャっ… 彼は眩しさに目を細めながらも空を見上げ、今でてきた玄関を振り返る。 「……いってきます。」 しかし、家からは返事がない。 挨拶は彼の習慣となっているのだろう。 バタンッ…ガチャ、ガチャン。 彼は、今朝見た「夢」のことなどすっかり忘れ、寂しい家に一時の別れを告げ、これから知る運命など知るよしもなく、いつものように学校へ向かった。
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