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価値のある名刀があるわけでもなく、山吹色の菓子がある箱すらある気配もなかった。
庭の井戸に近づき喉が乾いたので水を汲んだ。 飲む。冷たくおいしかった。もう少し見る場所がないか考えようとした時、
「あんた、見かけん顔じゃのう。」
葉水の後ろで声が掛かった。剣術の為使用する篭手と胴を外しながら男は笑顔を向けた。
長身で髪は大量の汗をため濡れていたおり、くせ毛で渦巻いていた。
「どうもはじめまして、拙者浪人の栢山葉水という者です。よろしくお願いします。」
「おぅ、さなこさんが頼んだ用心棒さんじゃね。」
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