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たが、よく見ると小はあるが大はない。大の代わりに白樫の枝を削った棒いや杖があるではないか。
彼と擦れ違う時に気付く町の人々達は不思議そうに見送っていた…。
市谷にある口入れ屋に着いた。生きる為の収入源である。
「ごめん、親父殿。仕事を貰いにきた。あるか?」 鉢巻きをしそろばんを弾いていた中年男が葉水に振り向いた。
「栢山のお侍さんかい。はー、申し訳ないが今の所ありませんな。」
「そうか…しかし拙者も五日前の溝さらいの給金が絶えそうで飢え死にしてしまう。」
腹をさすりながら悲しい表情で訴える。
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