【始まり】

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「ふぅ~………。危なかった。」 俺は額の汗を拭った。 「ホント危なかったね。でも、さすがにSMごっこは……ないね。」 苦笑いをしながら、美奈が言った。 「ホント、そうだよね。あんたのせいであたしがドSみたいに思われたじゃん!!!」 慌てふためく俺は、つい、言ってはいけない一言を口にしてしまった。 「だって、その通りドSじゃ…グハッ!!!」 最後まで言い切る前に、柊の右膝蹴りが俺のあごを直撃した。 柊は使ったわけでもない手をはたき、 「そのまま死ね!」 そう言って、痛がるヒロを捨てていった。 その後を美奈が追おうとする。 俺はあごを押さえながらも、必死に口を動かした。 「美奈…待ってくれ…!!」 美奈はクルリと振り返ると、少しいたわりの目をしていたが、ニコッと笑顔だけ残し、行ってしまった。 一人取り残された、ヒロを外から入ってくる涼しい風が包み、寂しさを倍増させた。
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