氷月

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「かぐや姫って、どういうお話か知ってる?」   -ー馬鹿にしているのか?   少し触れただけで、粉々に割れてしまいそうな程、 透き通った満月の夜 ワインで上機嫌な彼女が問うた。 「……男を振り回して逃げる宇宙人のハナシ」 酔っているのはお互い様だ。 端からまともに取り合う気は無い。 僕はそんな問いよりも、 ワインを孕んで月の光と共鳴しあう、猫目石のような彼女の瞳に見惚れていた。
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