氷月

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「うふふ。解ってないのね。かぐや姫は魔法使いなのよ。十分夢をみせたから、自分の場所へ帰ったの。 ずっと同じ所に留まると、力が失くなってしまうのよ」   ー―何を言い出すんだ?今度は   「ー―同じ所に留まると…… 力が失くなってしまうのよ」 彼女は子供がするように、道路の沿石の上にひょい、と飛び乗った。 両腕を広げ、軽くステップを踏むようにくるくると回った。 僕はただ、綺麗だとだけ思っていた。   「にゃあ」 呟くと同時に彼女は 静寂の中に 溶けた 僕はただ ただ月をみつめていた    少しふれただけで 粉々に割れてしまいそうな夜だった。
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