白い迷宮

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「入るぞ」 僕は今日もその扉をあける。 目の前には真っ白な部屋。入り込む風さえ透明だ。    いくつかの家具は発見できても、生活していく為に必需な数とは思えない。  その中心部には横たわる一人の女。その身を包む布まで、まわりに溶け込む様に真っ白だ。  ただその指の中にだけ、およそこの場所に似つかわしくない紅い光が己の存在を主張している。   ……まだ忘れられないでいるのか
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