次男

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フカフカの枕に顔を埋めながら、ぼんやりと宙を見ていた。 目を覚ましてから既に2分は経過しているが、未だ頭は覚醒していない。元より俺は朝が苦手だ。 「………」 むくりと起き上がると、肩まで掛かっていたシーツが落ちた。何も纏っていない上半身は唯一のシーツを失い、若干寒さを覚える。 しかし、どうにも動く気にもなれず、唯ベッドの端に腰掛けていた。 それから暫くしないうちに扉が開かれた。 「おーい、朝だぞー…って、起きてたのか?珍しいな」 ノックもしないで入ってきたのは翠だった。まぁ、どうせノックしたところで普段爆睡中の俺は気付かないのだが。 翠の姿を見ても、しっかり覚醒していないせいで未だぼんやりしている。そんな俺に呆れた顔をした翠は、部屋に入ってきてクローゼットを開けた。中から服を取り出すと、行き成り頭に被せてきた。 「!?」 「さっさと着替えろよ!飯冷めたら美味くないぞ!」 言いながら制服を取り出して椅子に掛けていく。 漸くはっきりしてきた頭で服を着て、ポイと投げ渡されたシャツを着る。 「つーかさぁ、普通下から渡さねぇ?」 「別にいいだろ!!とりあえずお前はさっさと着替える!!」 人差し指をビッと向けて言い放つと、部屋を出ていった。 着替えを済ませて一階に行くと、茜の姿が見当たらなかった。 「あいついねぇの?」 「茜?今日は朝練あるから早く行ったぞ」 よっしゃあ!!久々に翠独占!! 心中でガッツポーズをし、上機嫌で椅子に座る。 その時、テーブルの上に小さめの箱が置いてある事に気が付いた。 「翠ー、これ何だ?」 「ん?あー、それは人に渡すもんだ」 それだけ言うと「いただきます」と、朝食を食べ始めた。
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