3兄弟

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それに加え、生活費を稼ぐ為に色々な事をしている。例えば毎週水曜日の放課後にはあることを行っている。 それはズバリ料理教室。 調理室を借り、中学、高校、大学生の女子限定で行っており、結構な人気である。 そして作ったお菓子や料理を他の人に売るという商売もする。 「あーあ…翠が家にいてくれれば、俺の部屋は毎日綺麗なのに」 「…片付けしろよ」 他にも仕事として部屋の片付けも行っているのだが、晃人はその常連である。稼ぎになるからいいのだけれど、将来が不安になってきてしまう。そもそも一人暮らしなのだから、彼女でも呼んで片付けてもらえばいいものを…と、最近思う。 そのまま二人でグダグダと話をしていたら、突如教室の扉が勢い良く開かれた。その大きな音に、教室の何人かはビクリと肩を揺らし扉の方を恐々と見るが、他何名…と言うよりは翠と一緒につるんでいる生徒は、気にする事無く「うるせー」と笑っている。 扉を開けたのは一人の青年…それも身長が180以上あるしかめ面した青年だ。生徒達は彼に怯え身を小さくしている。 彼の姿を見た翠は、小さく溜め息を吐いて広告をバッグの中へ押し込んだ。 そして一方、翠の姿を見つけた青年は先程のしかめ面が嘘のように、嬉しそうに笑って翠に抱きつく。 「翠ぃー!!」 「あー…今日仕事無し?」 まるで大型犬のように甘えるのは翠の一つ下の弟である葵〈アオイ〉だ。 翠の身長171に対して、葵の身長は186である。 「ん、だから今日荷物持ちしてやるよ♪」 上機嫌で擦り寄ってくる葵に、いい加減離せと言おうとした時、突如葵が吹っ飛んだ。 驚きで目を丸くしていると、聞き慣れた声が聞こえ、またもや抱きつかれてしまった。
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