say.2

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え?ウチの両親? さぁ?何やってるんだろう? 両親が家にいない日はない。 っていうか、家から出たところを見たことがない。 この6年間。 それまでは、家族みんなバラバラだった。 お父さんは仕事で帰って来ない日あったし。 お母さんは弟・莉都にベタ甘。 お兄ちゃんは部活で帰って来るの遅い。 弟はまだ小2だった。 昔はあたし1人、のけもののような感じだったかな? 今とは全く逆の。 あのことが起こるまでは…… ──っ! 思い出したらダメ…… みんなに心配かけさせるから…… 「ごちそうさま!」 バタバタと部屋に戻った。 ……何も……何も考えない…… カチャ。 「蓮華」 ノックもせずに入って来たのは胡桃だ。 いつものことだけど。 「どうしたの?」 電気もつけず、ベッドにもたれていた。 「……思い、出しちゃって……」 胡桃が電気をつけたため、闇に慣れた目には眩しい。 「なんで思い出したの?」 「わかんない……」 胡桃にだけはいつも隠せないから。 素直に言うけど、本当にわかんない…… 「じゃあ、もう寝ましょう。側にいてあげるから」 「ありがとう……」 隣に座って肩を貸してくれる胡桃の優しさが嬉しい……
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