say.3

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「顔色悪い」 はい? あたし今そんな話してた? 「蓮華、ホントに顔色悪いわ、保健室行く?」 「そんなに?」 「ホラ、行こ」 手を引かれて立つと、目の前が暗転… 足の力が抜けて、ペタンッと座り込んでしまった。 立てないなんて… こんなになったのは…昨日思い出したからかもしれない。 だから、余計に… 「俺が連れて行くわ」 「へ!?え!?颯希く!?」 お姫様抱っこー! い、嫌!みんなに見られてる! 「一食一飯の恩義」 一食一飯ってなんですかぁ!? それを言うなら一宿一飯! 周りの目も気にせず、颯希くんはさっさと教室を出て行く。 あ……でも…… なんだろう…… なんか……安心する…… ゆらゆら揺れる心地よさが、少し夢の中へと誘う。 「蓮華ちゃん!」 誘われそうになってたのに! 引き戻された。 「…お姉ちゃん、うるさい」 この学校の保健医は、あたしの10コ上の姉・撫子。 「早く!ベッドに寝かせて!」 あたしと同じ黒いストレートの髪を肩まで伸ばし、青い縁の眼鏡をかけて知的に見えるんだけど… 「熱!熱!?」 …ちょっとパニック体質? イヤ、ウチの家族、あたし以外みんなプチパニック体質だ。 「熱はない」 下ろしてもらって横になると、再び睡魔が襲ってくる。 「そうもいかないわ、ハイ、測って」 渡された体温計を渋々脇の下へ。
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