say.3

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「妹がお世話になったわね、ありがとう」 カーテンの向こうから聞こえる声。 誰かいてくれることに安心する…… 「胡桃ちゃんもありがとう」 「あたしは驚いてただけです」 「あ~、そうね。驚いたわ、蓮華が男の子に抱かれて来るなんて」 ……そういえば、あたし…… 颯希くんに触られても平気だった。 「浅水くんにだけは、心を許してるみたいね」 「え?男恐怖症?」 「ん~、まぁ、似たようなもの?」 お姉ちゃん、その曖昧な答え方はいったい… 「ふ~ん。俺はこれで」 「颯希くん!」 「何?」 カーテンを開け顔だけ覗かせる颯希くん。 「ありがとう、連れて来てくれて」 「…ん~、お大事に」 手をヒラッと振ってるのがぼやけて見える。 体温計が鳴ったことも、チャイムが鳴ったこともわからないほど、あたしはすぐに眠りについていた。
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