say.1

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…あ。 あ、あ~! ターゲット発見! あたしと同じように足止めされたかな? 「浅水颯希くん?」 近寄ったらチラっとこっちを見て…無反応! 「ね、あたしとつきあって」 …再び無反応! 「浅水颯希くん?」 このまま引いてたまるかぁ! 「…名前でいいから、フルネームはやめろ」 はぁっとため息混じりに言われた。 ぅわっ!ムカつく! 「颯希くん?」 ちょっと首を傾げて聞くように言ってみた。 「…あんた、素の方が可愛いと思うけど?」 って、いきなり言われても普通に今、素なんですけど… あたしにどうしろと…? 「ん?ちょっと待って?あたしのこと、知らないのよね?」 だって『誰?』って言われたんだよ? 「思いだしただけ。君さ、なんて名前?」 …軽く屈辱…侮辱された気がするー!! 「蓮華、駿河蓮華」 うん、キレそう。 「蓮華?ふ~ん」 それだけかぁ! 頼むから、なんか反応してぇ! 花の名前と一緒とか! なんか言ってよ! 「クラスと違うけどさ、大人しいの似合わないよな」 「いいじゃん!大人しくしてたって!中学の二のま…」 「中学?」 「なんでもない!あたし、颯希くんのこと諦めてないから!」 まだ止まない雨の中、あたしは飛び出していた。 濡れることよりも……あのことに触れられることの方が……ツライ…… ……誰も……フレナイデ……
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