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…あ。
あ、あ~!
ターゲット発見!
あたしと同じように足止めされたかな?
「浅水颯希くん?」
近寄ったらチラっとこっちを見て…無反応!
「ね、あたしとつきあって」
…再び無反応!
「浅水颯希くん?」
このまま引いてたまるかぁ!
「…名前でいいから、フルネームはやめろ」
はぁっとため息混じりに言われた。
ぅわっ!ムカつく!
「颯希くん?」
ちょっと首を傾げて聞くように言ってみた。
「…あんた、素の方が可愛いと思うけど?」
って、いきなり言われても普通に今、素なんですけど…
あたしにどうしろと…?
「ん?ちょっと待って?あたしのこと、知らないのよね?」
だって『誰?』って言われたんだよ?
「思いだしただけ。君さ、なんて名前?」
…軽く屈辱…侮辱された気がするー!!
「蓮華、駿河蓮華」
うん、キレそう。
「蓮華?ふ~ん」
それだけかぁ!
頼むから、なんか反応してぇ!
花の名前と一緒とか!
なんか言ってよ!
「クラスと違うけどさ、大人しいの似合わないよな」
「いいじゃん!大人しくしてたって!中学の二のま…」
「中学?」
「なんでもない!あたし、颯希くんのこと諦めてないから!」
まだ止まない雨の中、あたしは飛び出していた。
濡れることよりも……あのことに触れられることの方が……ツライ……
……誰も……フレナイデ……
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