say.2

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ただいまぁと、玄関の方から聞こえるのは莉空兄の声。 胡桃を送って帰って来たか。 お風呂場まで聞こえるって、どんだけでかい声出してんだ? コンコン。 は!?誰!? 「蓮華、みんな心配してるみたいだけど、何かあった?」 声の主、というか入って来たのは胡桃だった。 「別に何もないよ?傘がないから濡れただけなのに」 それでくぅちゃん… 一緒に入るのですか… 「あら、一緒ね。あたし達も濡れてねぇ」 って、たぶん言ってるんだと思う。 頭からシャワー浴びながら喋らないで。 天然お姫様… しばらくシャワーの音だけを聞いていた。 「それで?何かあったの?」 「何もないって」 「何もないのに、蓮華が濡れて帰って来るわけないじゃない」 …鋭いな… ってか、狭っ! 2人で入ると狭すぎる! 「駅で颯希くんに会った」 「で?」 「…ちょっと中学の時のこと思い出しただけ」 やっぱ胡桃には隠し通せないか… 「話したの?」 「まさか…走って逃げたもん。変なヤツって思われたかな?」 苦笑いを浮かべて頬をポリポリかいた。 「大丈夫よ。好きでもない人に告る時点で変なヤツだから」 「上げもせず落としたー!」 フッ…そんな胡桃が大好きだー! 「…のぼせたぁ…」 「ずっと入ってるからよ」 立ち上がるとクラクラ~。 「入りすぎたぁ…」 「バカね」 2人してパジャマに着替えてリビングに向かった。
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