1523人が本棚に入れています
本棚に追加
ただいまぁと、玄関の方から聞こえるのは莉空兄の声。
胡桃を送って帰って来たか。
お風呂場まで聞こえるって、どんだけでかい声出してんだ?
コンコン。
は!?誰!?
「蓮華、みんな心配してるみたいだけど、何かあった?」
声の主、というか入って来たのは胡桃だった。
「別に何もないよ?傘がないから濡れただけなのに」
それでくぅちゃん…
一緒に入るのですか…
「あら、一緒ね。あたし達も濡れてねぇ」
って、たぶん言ってるんだと思う。
頭からシャワー浴びながら喋らないで。
天然お姫様…
しばらくシャワーの音だけを聞いていた。
「それで?何かあったの?」
「何もないって」
「何もないのに、蓮華が濡れて帰って来るわけないじゃない」
…鋭いな…
ってか、狭っ!
2人で入ると狭すぎる!
「駅で颯希くんに会った」
「で?」
「…ちょっと中学の時のこと思い出しただけ」
やっぱ胡桃には隠し通せないか…
「話したの?」
「まさか…走って逃げたもん。変なヤツって思われたかな?」
苦笑いを浮かべて頬をポリポリかいた。
「大丈夫よ。好きでもない人に告る時点で変なヤツだから」
「上げもせず落としたー!」
フッ…そんな胡桃が大好きだー!
「…のぼせたぁ…」
「ずっと入ってるからよ」
立ち上がるとクラクラ~。
「入りすぎたぁ…」
「バカね」
2人してパジャマに着替えてリビングに向かった。
最初のコメントを投稿しよう!